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連結決算

れんけつけっさん

企業会計において、親会社(支配会社)と全ての子会社(被支配会社)からなる企業集団全体を一単一の経済主体とみなし、その財務状況および経営成績を総合的に報告するために作成される財務諸表である。個別の法人格に基づいた単体決算とは異なり、グループ内の取引や債権債務を相殺消去する手続き(連結修正仕訳)を経て、投資家や債権者に対し、グループ全体の実態的な財政状態を示すことを目的としている。

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概要

連結決算とは、単なる個別の法人の決算報告ではなく、企業グループ全体としての経済的な実態を明らかにするための会計処理及び報告制度である。これは、現代の企業活動が多角化やグローバル展開により、複数の法人格を持つ子会社や関連会社を傘下に収める形で展開されていることに対応して発展した。投資家やその他の利害関係者は、親会社単独の財務諸表だけでは企業の真の収益力やリスクを把握できないため、連結決算書こそが、上場企業における主要な情報開示資料として位置づけられている。

連結財務諸表は、連結貸借対照表(B/S)、連結損益計算書(P/L)、連結キャッシュ・フロー計算書(C/F)、連結株主資本等変動計算書などで構成される。これらの諸表を作成するにあたり最も重要な処理は、グループ会社間の内部取引をすべて相殺消去することである。例えば、親会社が子会社に製品を販売した場合、これはグループ全体で見れば内部での「たらい回し」に過ぎず、外部に対する真の収益ではないため、売上高と売上原価の両方から該当額を消去する必要がある。

由来・制度的背景

連結決算の概念は、20世紀初頭にアメリカ合衆国で巨大コングロマリットが形成された時代に、企業の複雑な実態を把握する要請から生まれた。多くの企業が子会社を通じて多岐にわたる事業を展開するようになると、単体の決算だけでは、親会社による子会社への投資額や、子会社が生み出す利益の実態が見えなくなり、投資家保護の観点から問題視されるようになった。

日本においては、第二次世界大戦後の証券市場の整備に伴い、連結財務諸表の開示の必要性が議論され始めた。しかし、本格的に制度化が進んだのは比較的遅く、1977年に証券取引法に基づく開示制度として導入されたのが始まりである。当初は、親会社が発行する有価証券の価値評価の補助的な情報として位置づけられていたが、企業のグローバル化が進むにつれ、国際的な会計基準(特に米国会計基準)との調和が求められ、制度は段階的に強化された。特に1999年には、それまで「原則的な適用」であった連結決算が「強制的な適用」となり、上場企業の主要な財務報告は連結ベースで行うことが義務付けられた。これにより、連結会計は単なる追加情報ではなく、企業グループの実態を示す主たる財務報告の地位を確立したのである。

連結の範囲を決定する基準は、かつては議決権の所有割合(株式所有基準)が中心であったが、現代では「支配力基準」が採用されている。これは、たとえ出資比率が50%以下であっても、人事や資金繰りなどで実質的に親会社が支配していると判断される場合は、その会社を子会社として連結の範囲に含めるという考え方である。この支配力基準の採用により、企業の経済的な実態をより正確に反映した報告が可能となっている。

連結決算の基本的なプロセスと特徴

連結決算を作成する過程は、主に四つのステップに分けることができる。第一に、連結対象となる各子会社の財務諸表を収集し、親会社と同じ会計期間、会計処理方法に統一すること(基礎資料の収集)。第二に、親会社と子会社の間で重複している資本関係を消去すること(資本連結)。親会社が子会社の株式を取得した際に計上した「投資」勘定と、子会社の「資本」勘定を相殺消去する手続きであり、この際に生じる差額は「のれん」として処理されることが多い。

第三に、グループ内部で発生した取引(売上、仕入れ、金銭の貸し借りなど)を消去すること(成果連結および債権債務の消去)。前述の通り、これはグループ外との取引のみを収益として計上するために不可欠な処理である。特に、子会社が保有する内部取引による棚卸資産や固定資産の中に含まれる未実現利益は、グループ全体で外部に販売されるまで実現したとみなされないため、これも消去対象となる。

第四に、親会社が100%の株式を保有していない子会社の場合、親会社以外の株主が持つ持ち分(非支配株主持分)を区分して表示することである。非支配株主持分は、連結財務諸表上、負債でも資本でもない独立した項目として扱われ、グループ全体が上げた利益のうち、親会社に帰属しない部分を明確にする役割を担っている。

具体的な使用例・利用シーン

連結決算書は、企業の外部および内部の意思決定において、極めて広範に利用される。

投資家は、企業の株価評価を行う際に、連結ベースの純資産額や純利益を用いて、株価収益率(PER)や株価純資産倍率(PBR)などの指標を計算する。単体決算の数字が良くても、連結ベースで見た場合、赤字の子会社の負担によりグループ全体では収益性が低いといった実態が明らかになることがあるため、連結情報が必須となる。

金融機関は、企業への融資判断を行う際に、連結貸借対照表を用いて企業グループ全体の負債水準や流動性を評価する。グループ全体で過度な借入がないか、また、グループ内の資産の偏りがないかを詳細に検証する。

また、企業自身が事業戦略を立案する際にも、連結決算は重要な内部資料となる。連結ベースのセグメント情報(事業分野別や地域別の収益状況)を参照することで、どの事業がグループ全体の成長を牽引しているのか、または改善が必要な事業はどこかを客観的に把握し、経営資源の配分を決定するための基礎情報とする。M&A(合併・買収)の際には、買収対象企業を連結した場合の財務インパクトを事前に試算するためにも、連結会計の知識が必要となる。

関連する概念

単体決算との関係

連結決算が企業グループ全体の経済実態を示すのに対し、単体決算はあくまで個別の法人格ごとの財務状態を示す。単体決算は税務申告や会社法上の配当可能利益の算定の基礎となるが、市場における企業価値評価においては、連結決算が重視される。しかし、連結決算はあくまで修正処理を経たものであり、個々の法人の状態を把握するためには単体決算も依然として重要である。

持分法適用会社

子会社のように支配関係はないが、親会社が一定の影響力を持っていると判断される関連会社については、「持分法」が適用される。持分法では、その関連会社を連結の範囲には含めず、代わりに親会社の損益計算書に、その関連会社の純利益のうち親会社の持ち分に相当する額を計上し、貸借対照表の投資勘定を増減させる。これは、企業グループの実態を反映しつつ、完全な連結処理よりも簡便に影響力を表現するための手法である。

国際会計基準(IFRS)との関連

連結会計の基準は、グローバル化の進展に伴い、国際会計基準(IFRS)の影響を強く受けている。日本の会計基準はIFRSに比べ、歴史的に細かなルールが多い傾向にあったが、IFRSの導入が進むにつれて、連結範囲の決定(支配力基準の適用)や、のれんの償却に関する考え方など、多くの点で国際的な整合性が図られている。IFRSにおいても、連結財務諸表が基本財務諸表として位置づけられており、国内外の投資家が企業の比較分析を行うための共通言語として機能している。


(総文字数:1770字)

由来・語源

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使用例

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関連用語

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